おさしづ配信

新しい道具

おさしづ配信

「新しい道具、何ぼ使うても不足無い。朝から日々結構結構と言う。うっかり聞いては分からん。夫婦の中、人を見るやない、聞くやない。もうこれからという理を改めるなら、生涯という。」(明治24・11・8)

道具にたとえてお話し下されています。
「女房と畳は新しい方がいい」という俗言がありますが、畳は古くなったら替えなければなりません。ところが人間は、心次第で、最初の心をいつまでも貫くことができます。夫婦生活でも、歳月が経って古くなりかけた心を、途中で入れ替えて、新婚の心に戻ることさえできないわけではありません。
だから、日々、新しい心になろうと努力することが大切です。行く川のながれは絶えずして、しかも元の水にはあらず、という生き方が必要です。ロマン・ロランの『魅せられたる魂』のヒロインはリヴィエールという名ですが、リヴィエールとはフランス語で「川」という意味です。そんな川のような生き方を理想にして描いた作品と言ってよいかもしれません。
地球は毎日一回、自転しています。だから私たちも、地球人として、毎日、心を一回転させ、新しい心で生きていくのが自然なのですね。
あの人は昨日ケチだったから、今日もケチだ。この人は今日頑固だったから、明日も頑固だ、と決めつけるのは、本当は間違っているのです。自分がケチだったから相手もケチだったのであり、自分が頑固だったから相手も頑固になったのだ、と受け取って、自分を変えると、相手も必ず変わるのですね。
変えてならないものは断じて変えず、変えるべきものは絶えず変えていこうと努力するのが、天然自然の中で生かされ、生命を与えられている人間の生き方でしょう。また、そういう生き方が、本当の人間の生命を延ばすことにもなると思うのです。
これから、と改める心、改めつつ貫く心、これが生涯に及ぶなら、理想の生き方となるのでしょう。(渡部与次郎、「おさしづに学ぶ – 朝席のお話」、天理教道友社)